農林水産省 令和6年度農業教育高度化事業

お知らせ

【2023年】視察研修《熊本県コース》開催レポート

2023/10/14(土)~10/15(日)は視察研修《熊本県コース》を開催。
学校・年齢・作目を超え、『ミライの農業をつくりたい!』という熱くピュアな想いを持った全国の学生が熊本県に集まりました!

視察・グループワーク・個人発表、全ての時間で大盛り上がり!
その様子をどうぞ!ご覧ください(^^)


▲参加した受講生は16名。2日間の学びで受講生同士の仲も深まりしました!

 

~~1日目の様子~~

【視察①】阿蘇さとう農園

最初の視察先は、熊本県阿蘇市にある阿蘇さとう農園。代表の佐藤智香さんと現場担当者(羊飼い)の方にご案内いただきました。
佐藤さんは、自身の地元である阿蘇市で2014年に就農。阿蘇の自然と人の営みの共生を守りたい、世界農業遺産にも登録されている阿蘇の農業を守りたい、そんな熱い思いで、地元の「阿蘇高菜」の種子を使ったマスタード「阿蘇タカナード」の製造に取り組み2016年から販売を開始。
「H28年度優良ふるさと食品中央コンクール」の「新商品開発部門」にて農林水産大臣賞を受賞するなど、その功績も認められています。また、3年前の2020年からは羊の飼養も開始、阿蘇の草原で放牧をされています。
地域の理解を得ながら放牧を進める苦労や、ご自身の思いに共感して助けてくれる人との縁の大切さを教えてくださいました。

 


▲佐藤さん(写真右)は研修に2日間帯同してくださり、受講生への愛溢れるエールをたくさん送ってくださいました。

 


▲阿蘇で小型畜産モデルの確立に奔走中の佐藤さん。
脱走防止の柵にもこだわりがあり、地元の間伐材を用いています。

 


▲みんなで集合写真

 

【視察②】(有)阿部牧場・【視察③】ASO MILK FACTORY

視察2カ所目は、阿蘇市で酪農を営む(有)阿部牧場。代表取締役社長 阿部寛樹さんに牛舎をご案内いただきました。その後、3カ所目の視察先である「ASO MILK FACTORY」に移動し、講義と夕食をいただきました。

「阿蘇から乳牛界に革新を起こす!」
阿部さんは、自動車の世界に超高級車(手に入れることを皆があこがれる車)と普通車があるように、自社ブランドの「ASO MILK」を乳牛界の“超高級車”にする!という高い目標とビジョンを掲げていらっしゃいます。そして、それらをいかに経営戦略に落とし込み、実行しているのかを、視察と講義の中でお話頂きました。


▲阿部代表(上段右端)。背景の素敵なログハウスが阿部牧場さんの事務所です。


▲阿部牧場さんでは、ゲノムのレベルで牛を管理し、自身の農場に残したい牛を選択。飼料は完全自給。搾乳機は1頭1頭の乳頭の位置まで自動で把握し、自動で洗浄、搾乳してくれる超ハイテクマシーンを完備。


▲講義の様子


▲講義後は、阿部牧場が運営している「ASO MILK FACTORY」にて、自社の乳製品と阿蘇の食材を使った美味しいディナーを頂きました。(食事代は自己負担ということで、タッチパネルから好きなメニューを選び注文。豊富なメニューも料理の味わいもとても勉強になりました!)
阿部さんは食事中も受講生への質問に熱心にお答えくださいました。

振り返りグループワーク

視察後はグループワークを実施。4つのグループに分かれ、KJ法を用い『今日の視察で学んだこと・新しい気づき』などをグループ内でシェア、その内容を全体の前で発表しました。

 


▲発表の様子

発表後には、阿蘇さとう農園 佐藤さんや、阿蘇さとう農園の事業統括(プロボノ)を担当されている合同会社 Amahoro 代表 蓜島一匡さんから、農業現場のリアル視点でのフィードバックを頂き、さらに学びを深めました。


▲合同会社 Amahoro 代表 蓜島さん

さらにさらに、グループワーク後に実施した自由参加の交流会では、阿蘇さとう農園の現場担当の方や、熊本県内で農業を営む若手農家・原さんも交え、受講生とざっくばらんに色々な話をしました。

自由参加の交流会は22時で終了。話足りない受講生も多々いましたが、翌日に備え、1日目を終えました。

 

~~2日目~~

朝は美しい阿蘇の山々を背景に朝食。
今日の学びも楽しみです!

 

視察④】(株)なかせ農園

3カ所目の視察先は、熊本県大津町にてサツマイモ専業で農業を営む㈱なかせ農園。看板商品は、収穫したサツマイモを蔵で30~60日熟成させた「蔵出しベニーモ」。
サツマイモへのこだわりや実際に貯蔵している様子等を、常務取締役 中瀬健二さんにご案内いただきました。
なかせ農園は、2003年にエコファーマー認定、2014年に『六次産業推進事業計画』認定、2020年にGLOBALG.A.P.の取得など、第三者にも認められながら農業を経営されています。また、2019年からは「農福連携」にも取り組まれており、福祉や地域共生を視野に入れている受講生から引っ切り無しに質問が飛び出しました。

 


▲受講生に説明をする中瀬さん(写真右)。この貯蔵庫の中は15度に設定されており、ここから美味しい熟成芋「蔵出しベニーモ」がうまれます。

 

 


▲整理整頓の行き届いた作業場。誰にでも分かりやすく、を意識した掲示物等、現場の工夫から学ぶことがたくさんありました。

 


▲きめポーズは「はい、おイモ(笑顔)」

 

振り返りグループワークと個人ワーク

視察後は、1日目と同じく、KJ法を用いてグループワークを実施。
さすが2日目。皆慣れた様子で活発な意見交換を行いました。


▲グループ内でまとめた視察の感想等を全体に共有。他の班の意見を聞くことで視野も広がります。

グループワーク後には個人ワークを実施。
「今回の視察にあたり最初に立てた目標に対する達成度の振り返りや、今回の学びを今後にどう活かしたいのか」という課題を各自で考え、まとめ、皆の前でシェアしました。


▲皆の前でシェアをする学生


▲個人発表後には、阿蘇さとう農園 佐藤さん(写真左)および蓜島さんよりフィードバックも頂きました。

全員が個人発表を行った後、佐藤さんと蓜島さんより総括をいただきました。

 

そして最後に事務局からも一言ご挨拶をし、2日間の研修が終了しました。

 

今回の研修に参加した受講生の声(一部)

視察研修について
<視察先① 阿蘇さとう農園>
  • 地域の方々と連携をとりながら、阿蘇の環境を考える姿勢がすごく勉強になりました。
  • 女性が農業に取り組みやすいようにする工夫がとても興味深かった。
<視察先② 阿部牧場・視察先③ ASO MILK FACTORY>
  • ロボットで搾乳しているところが見れてとても貴重な体験をした
  • 様々な加工品を見ることができ、お料理も美味しくて驚きました。
  • 阿部社長の販路拡大へのポリシーがとても面白かった。
<視察先④ なかせの農園>
  • グローバルギャップなどを取り入れ誰でも働くことの出来る場所を確立させたり、仕分けの簡易性や、熟成に対する思いなどを知れて良かった。
  • 貯蔵、選別、洗浄の工程を実際に見ることができ、参考になりました。また実際に食べることで貯蔵の効果を感じることができました。
振り返りワーク、全体を通して
  • 振り返りをシェアすることで、別の視点で見れたことと、講師の方々のフィードバックをいただけたことが良かったです。
  • とにかく楽しかった。目標が達成できた事に満足だったうえに、講師の方が一人一人にフィードバックをくれた事がとても嬉しかった。
  • 自分が知りたかったことや、知らなかったことを知れたし、作ってる人と話して自分のビジョンに繋がることを話せたので良かった。
  • 県外まで来て自主的に研修したのは初めてでいい経験になったし、これから色んな農家を訪問する上でとても良い第一歩になったと思う。他の県の農大の生徒達とも交流できたのも嬉しかった。

* * *

視察研修にご参加くださった皆さん、ありがとうございました!
リアルでしか得られない学びや経験がたくさんあったかと思います。
そして、リアルで人と会い、ともに学ぶ面白さも知って頂けたかと思います!(^^)!