学生
第3回 開催レポート*ミライの農業をつくる学生向け研修
8/23(水)は、「ミライの農業をつくる学生向け研修」STEP1<オンライン研修>第3回を開催。
今回は『地域づくり・6次産業化』をテーマに、阿蘇さとう農園の佐藤智香代表にお話頂きました。
優しい笑顔と人柄で周囲をまきこみ地域を盛り上げる!
佐藤氏は大阪で自動車のクレイモデラーとして4年勤務した後、地元阿蘇へ戻り祖父母の元で農家として働くように。
就農後、畑作を始めた佐藤氏でしたが、無理なく長く続けられる農業を模索する中で、現在は阿蘇の名産「阿蘇高菜」を使ったオリジナルマスタードの製造・販売や、阿蘇の草原での羊の畜産(繁殖・育成・肥育・販売)を中心に取り組まれています。
地元民しか知らない?!阿蘇高菜の新しい活用を発見!
阿蘇で有名な「阿蘇高菜」は、贅沢にも新芽だけを手作業で摘み取り、「阿蘇たかな漬け」という名で地域の方々に親しまれています。
新芽しか使わない、ということで収穫適期はわずか3日!この間に収穫できなかった阿蘇高菜は使えなくなる…。
収穫の手間がかかり非常に大変にも関わらず、価格がとにかく安く設定されている…。
阿蘇高菜を栽培しているのは高齢の農家さんばかり…。
何とか阿蘇高菜を活用したいと悩んでいる時、テレビでマスタードを手作りする様子が放映され、その様子を見た佐藤氏は「マスタードの種と阿蘇高菜の種、似ているな」「種子なら年中保管できる」「とう立ちした阿蘇高菜を活用できるかもしれない」と思いつき、研究に研究を重ね、阿蘇高菜の種子・県内の釜だき海水・地元米酢を使ったオリジナルマスタード「阿蘇タカナード」の開発に成功!!
現在では周辺の農家さんの阿蘇高菜の種子も買い入れ、地域の人からも喜ばれているそうです。
「阿蘇高菜は種子が日本で受け継がれてきた和がらし系統の品種なので、醤油との相性も良くお刺身やそうめんなどにも合います」と佐藤氏。
小型畜産のモデル確立へ向け奮闘中!
かつては阿蘇の草原では多くの牛馬が放牧されていましたが、霜降りや高肉質ブームにより、畜舎内での飼育が阿蘇でも主流になってきたそうです。
阿蘇の草原を守るには低層の草を食べる生き物の力が必要。ここに目を付けたのが佐藤氏。羊の放牧を思いつきました。
2020年の5頭から始まり、現在では100頭にまで増頭。今後2027年には700頭にまで増やし、阿蘇での羊の畜産モデルを確立したいそうです。
羊は小型家畜のため牛馬よりも管理がしやすいこと、羊肉を扱うレストランは1頭買いをしてくれる所が多いこと、羊毛はマイクロプラスチックを出さずエコな繊維であることなど、いいこと尽くめだそうです。
ここまで聞くと、とにかく勢いよく道を開拓するスーパーウーマンを想像しがちですが、実際の佐藤氏は物腰柔らかで、笑顔が素敵な方。
佐藤氏曰く、「人のご縁に助けられてきました。マスタードをテスト販売する時は、知名度のある地元のソーセージ屋さんの名前で商品を出していいと言ってくださった。羊の飼育を始める時は、羊の放牧に取り組む研究者の方や、近所の獣医さんが助けてくれた。販路としてホテルも手を挙げてくれた。自分が困っていることを発信していると、誰かが必ず助けてくれるんです。」
受講生のアンケート
そんな佐藤氏の回を受講した方々のアンケートの一部を紹介します。
- 地域のためになることを考えたり、自分のやりたい!を大切に周りの人たちを巻き込みながら挑戦していったりする姿が印象的でした。
- 話しやすいオーラをもちながら、6次化するにあたり考えた方が良いことや、始めるならOEMからなど、具体的論理的なアドバイスもいただけて、すごく尊敬します。
- テレビや本など外部の情報や流れにアンテナを張ってるからこそ、巡ってくる機会も多くて、それをしっかり掴めるか、形にしていけるかが大事と思った。
佐藤さんから一言
「農家の気持ちを汲んで加工品をつくったり、地域のものをどう活用できるかを考えられるのは、農家が大本にある6次産業ならではの良いところ。“農業”に縛られず、地域のためになることを今後も続けていきたい。」と笑顔でお話くださいました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
研修動画の準備ができ次第、アーカイブ配信お申込みの方へご連絡いたします。
次回ご案内
次回は、9/6(水)19:00~20:30
㈱なかせ農園 常務取締役 中瀬健二氏をお招きし、『農福連携・GLOBALG.A.P.』をテーマに講義をいただきます。
ぜひ一緒に、ミライの農業を考え歩んでいきましょう!